Home to Home to Anywhere

さて何から話そう。もう先週の事だ。ちゃんと覚えてるといいんだけど。

一年前のワンマンで、最後に『FEVERに帰ります』って言った。

これからも自分達の音楽は追求するけど、それ以外の上昇志向はもう持ってない。FEVERのライブに毎回お客さんが集まってくれればそれでいい。

居場所がある事。それが俺達にとっての成功なんじゃないかって。

始まってしまえば後はきっと大丈夫。FEVERのスタッフとファンが何とかしてくれる。その自信だけはあった。その為の7年間だった筈で。

あれだけ気になっていた台風の進路は、前日には逸れる事が予想されていた。

雨だけは降るらしい。油断は出来ないけど、少なくとも屋根のあるFEVERには客人を招ける。

想像しうる限りの雨への対応策を練って9/17を迎えた。

当日の雨は実際普通だった。大した事なかった。これ以外に書き様がない。本当にただの雨の日だった。

だけどあれだけ騒がれた天気予報だったから、果たしてどれだけの人が来てくれるんだろう。

もしも来てくれたら、一滴でも濡らして帰させないぞなんて。

予定より早くFEVERに集合して、予定よりも早くリハをして、予定よりも早く物販を開始して、予定よりも早く開場した。

関係者もそれに沿って動いてくれた。FEVERのスタッフが、自分が濡れながらも、お客さんを濡れない場所に誘導してくれた。あの光景が今も焼き付いてる。

気がつけば、いつもと変わらない長蛇の列が出来ていた。

物販を準備していたら、RAZORS EDGEの面々が顔を出してくれた。大阪ではダブルヘッダーになるのに快く出演してくれた。世話になったのは俺達の方なのに、差し入れのビールを片手に、わざわざ背中を押しに来てくれた。

フロアで開場の準備をしていたら、spike shoesのギターの竜司君が突然現れた。仙台の人が何故ここにいるのか最初全然理解出来なくて、頭が混乱した。名古屋で関わったから見届けに来たと。両手にはテキーラを持っていた。

話が前後するけど、他にもファンが沢山テキーラやテキーラ以外の強い酒を差し入れてくれた。最終的にテキーラの瓶が7本空いた。俺達のファンはみんな酒と音楽が好きで、たまに面倒臭いけど（笑）、そんな連中が俺は好きだ。奢り甲斐があるから。

他にも色んな事があって、今回のアメコミTシャツをデザインしてくれたマウラボの連中がお客さんに渡してくれって、ステッカーを用意してくれた。ちゃんと切り目がついたしっかりした作りの物。もちろんライブ中に投げたお面も彼等が仕事の合間に作ってくれたもの。大阪も名古屋も、あのお面のお陰でライブが和やかになった。

一番驚いたのは、リハの最中にこれを掲げてくれって、バックドロップを作って持って来てくれた。思い返せば、JOYの特設サイトからデザインに関わる事は本当に何から何までマウラボが担当してくれた。まるでアンダーワールドに対するトマトみたいに。そして最後の彼等流のサプライズがこれだった。

開場を早めても、WSZ80 a.k.a LEF!!!CREW!!!は涼しい顔でプレイしてくれる。沖縄に移住してしまっていつでもは会えなくなったけど、そこにいればいつも通りフロアを任せるだけ。クラッシュの仲間にコズモって人がいたんだけど、俺にとってユウスケはまさにそんな感じ。開演時間になって、シークレットゲストのTHE NO EARを紹介した。

カッコ良かった。自分達のファンが一人もいない可能性があるのに、臆せず果敢に、もっと言うといつも通りに、いや正攻法で初見の人を巻き込んでめちゃくちゃにしてた。そしてそれを受け入れるファンもカッコ良かった。その光景が美しくて何だかずっと笑ってたと思う。

俺達のライブの事はいいかな。みんな観てくれてたし、それが全て。苫小牧からFREE KICKやNOT WONKのメンバーもフロアで見守ってくれてた。

そうだ一つだけ。ライブが始まる前、今日はツアー最終日だし、感情的になってしまうんじゃないかって思ってたけど、どうにも楽しくて、感傷的な台詞を言おうとしても自分で噓臭く思える程、どんな曲を演奏しても楽しいだけの自分がいて、もう今日は楽しいで終わろうと。そんな風に思いながらライブをした。

楽しくない訳ないもんな。台風が来るかも知れないって日に、俺達のライブを観に来た満員のお客さんと仲間に見守られて、みんな思い思いに手を挙げたり、歌ったり、ダイブしたり、モッシュしたり、踊ったりしてる光景が目の前にある。そしてそのBGMを俺達が演奏してる。俺達も、ステージ袖で観てる子供達や仲間も、みんな笑ってた。

当日の様子は写真は味我ちゃんが撮ってくれたのでまた追って。例の集合写真も。

無事にライブが終わって、急いで片付けて、まだ昼間だし、打ち上げってよりもみんなで飯でも食べようと思ったら、POPOは来てくれたお客さんで満員で、俺達は新代田の秘境『吉田屋』へ行った。何が秘境かは一度行ってみれば分かると思うので次回にでも良かったら。

その後も新代田は賑やかで、隣の代田ではお祭りが開催されてたりして、遠くから来てくれた人も、みんながこの街で夕方まで遊んでた。きっと気に入ってくれたんじゃないかって思う。

俺は龍司君と下北沢までライブを観に行った。遊び疲れて新代田に帰って来て、最後に関係者にお礼を言いに回った。POPOやLFRやFEVERに。

そこにはファンもメンバーももう誰もいなかった。

みんな帰路に着いたのを確認して、俺の役目も終わった。空を見上げると、雨は完全に止んでいた。

以上がこの前の日曜日の事。多分この日の事は忘れないと思う。

今一度。雨の中来てくれてありがとう。嬉しかった。